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道下 江里花氏 by 道下 江里花氏 | 11月 28, 2021

道下 江里花 氏のキャリアとバックグラウンドについて

道下 江里花氏は、株式会社ミクシィのモンスト事業本部のマーケティング部長を務めています。 2011年に株式会社ミクシィへ新卒入社し、mixiゲームの立ち上げに携わったのち、「モンスターストライク」(以下、モンスト)のローンチ時におけるプロモーション業務に従事しました。 その後、他タイトルのモンストのコラボ先となる版元IPとのアライアンス業務や新規ゲームタイトルのプロジェクトマネージャー、新規事業の立ち上げや子会社での経営、モンストの事業戦略策定・組織改革支援業務を経て、現在ではモンストのマーケティング組織のマネジメントを担っています。

道下氏のインタビュー記事については、こちらをご覧ください。  

 

ミクシィ社について

ミクシィ社は、ソーシャルネットワーキングサービスの「mixi」、ならびにスマホゲーム「モンスト」をはじめとしたデジタルエンターテインメント事業を軸に、様々なインターネットサービスを運営しています。

事業多角化を進めており、世界累計5,600万人のユーザーを誇る「モンスト」を提供するゲーム領域をはじめ、スポーツ、映像事業、近年では公営競技市場にも進出しています。 2021年に8周年を迎えた「モンスト」は、現在シリーズ展開を通じてモンストブランドの多角化に注力しています。

 

1. ユーザー体験を大事にしながら、ユーザー獲得と維持の最適化ポイントを探り続ける

広く認知を獲得し、いわば成熟した状態にあるゲームアプリが継続的な成長を目指すためには、新規ユーザーを獲得する「攻め」の部分と、既存のユーザーを維持する「守り」の部分のバランスを常に意識しながら、継続的にプロダクトのクオリティを高めていくことがとても大切であると考えています。

「モンスト」をはじめとした運用型のゲームアプリは、ユーザーに利便性を提供する一般的なWEBサービスの運用とは大きく性格が異なります。
新規ユーザーの獲得を重視し、ユーザー体験そのものを刷新・変化させてしまうと、既存ユーザーの離脱を招いてしまう一方で、既存ユーザーの期待のみに応え続けることを重視するとコンテンツのコア化が進行し、新規ユーザーの獲得が難しくなるだけでなく、長期的に見た場合、サービスがシュリンクしてしまうリスクが高まります。

加えて、後発のタイトルや中国をはじめした海外パブリッシャーの参入により、市場環境が大きく変化する昨今においては、どうしても最新     のトレンドや他社の動向に引っ張られがちとなりますが、継続的な成長を目指す上では、「ゲームの良い部分」、すなわち「自社タイトルならではのプレイ体験」を大切にしながらも、潜在・新規ユーザーの「遊んでみたい気持ち」を刺激する最適なポイントを継続的に探っていくことが欠かせません。

 

2. マーケティングとプロダクトサイドを密に連携させ、魅力ある体験を提供する

ローンチ後間もない市場導入期のマーケティングでは、認知拡大を狙った「目立つ施策」を大々的に展開することで、必然的に新規ユーザーの獲得、ならびに売上の伸長が望めます。
しかしながら、ローンチから年数が経過し、ある程度認知が成熟した段階になると、「名前は知っているが、プレイはしていない」層の態度変容を図るためのコミュニケーションが必要となります。

これは、成熟市場で戦う消費財のマーケティングと近しい状況であるとも言える一方、一貫したプレイ体験の提供が重要となる運営型ゲームでは、いわゆる「リニューアル」、「リブランド」といったことが困難ため、更にシビアな命題になります。
そしてこういった課題への打ち手は多くの場合、プロモーション施策単体では解決することが難しいです。
そのため、プロダクトサイドと密な連携を図りながら、プロダクトでの体験の改善や、新たな魅力の創出といった部分を共に進めていく必要があります。

「モンスト」では、IPコラボレーションを積極的に展開しており、ファン層の取り込みによる新規ユーザーの獲得、既存ユーザーに向けては、密度の高いコラボコンテンツ展開などで楽しさを再認識していただきモチベーションを高めてもらうことを実現しています。
また、休眠ユーザーの回帰においても高い効果が表れています。

 

3. 客観的な視点で状況を捉えながら、ユーザーに寄り添う

多くのゲーム開発にいて、良いコンテンツを生み出すこに注力すると思います。その熱量自体に何も問題はないのですが、どんなに良いコンテンツだと開発チームが思っても「ユーザーに届かなければ売れない」ことはもちろん、そもそも、「ユーザーに届いて喜ばれるもの」を作らなければ売れません。

マーケターは、「最終的に、どうお客さんと握手しにいくか」を常に念頭に置きつつ、プロダクトの「川上」から「川下」の部分まできちんと把握し、プロダクトの魅力をどう伝えていけばユーザーが喜んでくれるのかといった部分を深く考えていく必要があります。

 

4. 施策のトータルバランスを鑑みつつ、パフォーマンスの最大化を目指す

計測環境が大きく変化する昨今、プロモーションは個別最適設計するのではなく、デジタルやマス、その他領域を問わず、トータルで設計して いくことがより一層大切になってきていると感じます。

ユーザーとのタッチポイントについては、今後TVをはじめとした既存のマスメディアから、デジタルへのシフトが更に加速すると考えられるため、それらの「面」の中で、いかに良いパフォーマンスできちんと効果的に露出させていくかがキーとなります。


ブランディング色が強い認知型広告では、ブランディング側面を意識して展開していくこと獲得型の広告については、ブランドを毀損しない範囲でパフォーマンスを重視するなど、両者の得意不得意の部分のバランスを鑑みつつ、常にパフォーマンスを最大化させていくことが重要であると考えています。

既存媒体のパフォーマンス最大化に加えて、新規媒体へのチャレンジも大切です。
直近のゲームコミュニティにとっては、SNS系の認知型広告や、ライブ配信サービスも見逃せない存在となっていると感じます。

中でも、ライブ配信サービスは直接的な獲得にはつながらなくとも、ユーザーコミュニティの創出を通じたエンゲージメントの強化といった観点で見ると、長期的なサービス成長を目指すうえで強力なタッチポイントであると考えています。

 

まとめ

「モンスト」がそうであるように、今後多くのタイトルがプロダクトとしての成熟期を迎えることが予想されます。

また、資本力の強い海外プレーヤーの参入や計測環境の変化といった外的要因もあり、ゲーム市場は競争と変化が激しさを増しています。
ゆえに、継続的な成長のためにはよりレベルアップしたーケティングが求められる状況になることが考えられます。

このような時こそ、プロダクトが提供するユーザーにとってのコアバリューを改めて意識し、自分の中で問い直すことが重要です。コアバリューを見極め、ユーザー ニーズに応える施策を設計できれば 、必ず成果が実るようになると思います。